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一部の人からラジオくんと呼ばれています。

ローカルメディアナイト #1

togetter.com

このTogetterに煽られまして、ローカルメディアナイトというイベントをやってみました。この記事はそのアーカイブというか備忘録です。

 

鹿児島ローカルのメディアの中の人(テレビ、ラジオ、新聞、ウェブ、等々)が最初は数人で、と思ってたのですが某マニアックスさんの拡散により20人超え。非メディアの人も来てくれました。

 

まずは、今回の議論の目的と、いくつかテーマになりそうな視点を提示しました。

ざっとまとめます。

 

1.テレビ局の構造の話

全民放局のうち、自社制作比率が30%を超えるのは1割ほど。6割の局は10%以下しか無い。収入としてはテレビ事業(いわゆる放送事業収入)が8割~9割。地方局もそうなのであれば、あまり「自分たちで作ったものを売ることで稼ぐ」という構造にはなっていない。キー局が作ったものを流すことで収入も得られてやっていけるのなら、いち民間企業としてはまずはそれでいいんじゃないの?という気も。

じゃあローカル番組が増えてる(増やしたい)のはなぜ?

ローカルメディアとしての挟持、という声も。

 

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2.メディアのお金の話

テレビ・ラジオはほとんど広告。

新聞は、広告と課金(購読者からもらうお金)のハイブリッド

AmazonPrimeとかNETFLIXもハイブリッド。

お金のもらい方でみると、テレビはフリーペーパーに近く、AmazonPrimeは新聞に近い。何で稼ぐのか、もメディアのあり方を決める。

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3.ネット配信の話

NHKオンデマンドとか、TVerとか、テレビ各局がウェブで配信、という流れ。

エリアを問わずアクセスできるようになるから地方局が無くても見られる。

いっぽうで、AmazonPrimeやNETFLIXはプラットフォーム(だったけど、コンテンツも作り始めた。)

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地方局がウェブ配信へ、という流れも、あることはある。

北海道ONデマンド(HTB:北海道)

ヨンチャンTV (ABS:秋田)

南海放送 (RNB:愛媛)

NCCオンデマンド (NCC:長崎)

 

キー局も地方局も自社配信が多い。プラットフォームが増えると、見るのが煩雑になる。たとえばAmazonで、地方局の番組が見られたらいいのに。

スマホで見られたら、地元番組でもテレビじゃなくてスマホで見たい(テレビのためにその時間を自宅に拘束されるのがイヤ)という声も。

 

 

3.コンテンツ、インフラ、デバイス

この3つは分けて考えたい。たとえば「ラジオ」といったときに、コンテンツの話なのか、インフラの話なのか。

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と、これはやっぱり議論を深くしていくとごっちゃになりがち、という印象。ときどき「それは同じコンテンツを違うデバイスで見たい、っていうことだよね」というような整理を。

 

4.免許、規制、放送法、などなど

放送局を作るためには、公共財である電波を使うための免許が必要。この免許をとるのはけっこう大変。それでも、電波はそもそも限られた範囲にしか届かない。

新聞のような紙媒体は、免許の必要は無し。きょうから新聞社を名乗って、記事を書いて印刷して宅配すれば、新聞社になれる。やっていけるかどうかは別として。

そのぶん、新聞は自由かと言うと、そうでもなかった歴史もある。

昭和初期、新聞統制というのがあった。

国が言論を管理しやすくするため、新聞用紙の供給を制限して整理統合を進めた。

新聞紙等掲載制限令(昭和16年)で、記事の内容も管理される。

800紙以上あった新聞は、太平洋戦争開戦後には50紙ほどに。もともとは超ローカル紙がいっぱいあった。「一県一紙体制」の完成。

戦後、自由に新聞社が作れるようになって一県二紙以上の例や放送局に新聞社が出資する例も相次ぐように。

放送法(昭和25年)には、政府がメディアに介入したことへの反省もふくまれているのでは?

 

最近、改正議論が出たのがこの4条

 

(国内放送等の放送番組の編集等)

第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。

一 公安及び善良な風俗を害しないこと。

二 政治的に公平であること。

三 報道は事実をまげないですること。

四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの
  角度から論点を明らかにすること。

 

 

本来、国が規制を緩和して自由になるのはメディアにとっていいことでは?規制されたいのはちょっと変な気も。「偏った番組や局が増えるから規制が必要」という議論はわかるけど、そもそも放送法では新聞やネットは規制できない。

 

むしろ、メディアの自由度については、3条が大事なんじゃないかな。

 

(放送番組編成の自由)

第三条 放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。

 

 

5.防災の話

地方局には防災の役割もあるよね。という話。

1995年1月17日 阪神淡路大震災

空撮映像など、大きく報じられた。実際に被災した現場に必要だった情報(炊き出しやライフライン、行政の個別対応、外国語の情報 etc...) に個別に対応した小さな放送局(制度化されたばかりのコミュニティ放送)があった。

震災の2年後、「臨時災害放送局」が制度化。発災直後に、簡便な手続きで放送局が設置できるように。

東日本大震災では30局以上が開局。熊本地震でも4局開局した。

 

防災メディア、と呼ばれることへの違和感。

ふだんから視聴者、読者との関係性をどの程度作っておけるか。

その視点がないと、災害時に役割を果たせない。

 

1次防災(発災前、発災直後に、いかに生命を守れるか)と、2次防災(発災後の被災者に対して必要な情報を個別的確に届ける)は、必要な職能が異なる。それぞれ適したメディアがありそう。

 

 

6.こんな話が出たよね、というメモ

記者クラブ

一般からみると、よくわからない存在かも。連絡網的な役割も。

ネットメディアや記者クラブに入ってないメディアが、県庁とか予算の話とかに入っていくのはちょっとハードルが高い?

 

・全国向け、地元向け

それぞれコンテンツのテーマの選び方、作法が違うよね、という話。

某マニアックスは7割県外からのアクセス。

 

・制作費の違い

地方局とキー局では、番組制作費がざっと数十倍違う。それだけお金をかけたコンテンツだからクオリティも高くなるし単純にローカルよりそっちを見たい、という声も。

 

・同じ取材現場にテレビ5局、新聞2社、とか来てるときも。多くない?

効率化、圧縮出来るコストもありそうだけど、系列の縛りとかいろんな事情も。

 

・ネットの信頼感

ネットはよくわからない、と思われてる面もあれば、逆に既存メディアは偏ってて信頼できる情報はネットにある、という人もいる。信頼感ってなんだろうね、という話

某ネットメディアはどこよりも早く出すため予定稿を書いている。

 

・ローカルメディアの未来

こんな場に集ってくる「野武士」が作るのかもしれない。

 

当日のまとめは以下。適宜追記します。

togetter.com


 

次回は検討中ですが多分あると思います。

関わってみたいという方がいればぜひ。