藤村シシン「古代ギリシャのリアル」はマジでリアル。
もともとはコチラの記事で知ったのですが。
この藤村シシンさんという方、とても面白い。
きっかけは「聖闘士星矢」。
恥ずかしながら自分も聖闘士星矢(原作版)を読み、ギリシャ神話に興味をもってカブれてゆき、大学4年の時に卒業旅行と称してギリシャまで行ってしまった経緯があるので大変共感して読みました。ほんとデスマスクのせいで蟹座は・・・
で、著書のこちらを読んでみたわけですが。
とてもよかったです。装丁にしても書きぶりにしてもかなりポップでカジュアルながらタイトル通り古代ギリシャのリアルな姿がありありと伝わってくる本。
ちらっとでもご存知の方ならお分かりのとおり、ギリシャの神々はすぐ様々な交わり方をするのでところどころ18禁です。紳士淑女のみなさんは心して読むように!
細部は本を読んで欲しいのですが、以下雑感。
日本人と古代ギリシャ人の共通点みたいな話が出てきます。
恋愛をしてみたりいたずらをしてみたり、とても人間臭い神々がギリシャ神話の特徴ですが、いわゆる「神様」のイメージとは遠いなあ、と感じる人も少なくないはず。
自分も多数の日本人と同じく、特定の宗教を持っているわけではありません。
食事の前には手を合わせ、お盆にはお墓参りをし、受験前には神社で御守を買ったり、厄年だといえばお祓いをしてもらったりする。そういう「生活様式」としての信仰が、けっこう古代ギリシャの神々の信仰には近いのかもしれません。
もともとは神話や故事に基づく風習だったりしたものが現代の生活にアレンジされる形で残ってゆく。ギリシャ神話に新しいストーリーや解釈が重ね塗りされてゆくのにもよく似ています。
また古代ギリシャでは「働くことは貧しいもののすること」という価値観もあったとか。現代社会では決して認められませんが、労働は奴隷が行うもので一般市民は余暇を活かして遊んだり議論を重ねたりしました。古代ギリシャで哲学が花開いたのはそういう歴史もあります。
ロボットに仕事が奪われるなら遊んで暮らせばいい、と某氏が発言したのが話題になってましたが、現代の我々が暮らす価値観は根源的にはいずれ古代ギリシャに通ず、なのかもしれません。
なんだかんだで、古代ギリシャは「生きる」ということを考えさせてくれる魅力がある。かつてそんなことを思っていたのを、本書が思い出させてくれました。
藤村シシンさんの動向、今後もチェックしていきたいと思います。
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自分の場合はギリシャ神話に興味を持ったあと、最初に読んだ本はたしかこれ。
きっかけになった聖闘士星矢、別作者のスピンオフ作品みたいなのはどうも苦手だったのですが、「冥王神話」シリーズは車田先生によるオフィシャル続編。このシリーズにもギリシャの神々がたくさん出てきます。神話と比較して読むと面白いかも。
聖闘士星矢NEXT DIMENSION冥王神話 1 (少年チャンピオン・コミックスエクストラ)
- 作者: 車田正美
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2009/02/06
- メディア: コミック
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と、こんな記事を書きながら昔の写真を整理していたら、出てきました。
およそ15年前に行った卒業旅行、ギリシャの写真が。これは別の記事にしてみたいと思います。