uwagakilog

一部の人からラジオくんと呼ばれています。

工場見学に行ったらSCARのライフルに出会いました。

近くにこのほど部品加工の工場が開所することになり、工場見学の機会をいただいたのでお邪魔してきました。

これまでいくつかの工場を見せていただく機会があったのですが、モノが作られていく現場ってなんかワクワクしますね。

高校も大学も文系で、キャリアとしてもサービス業しか経験していない自分にとっては全く馴染みの無いマシンが並んでいます。

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こんな機械で金属を削っています。


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実際に削るのはこの部分。依頼主からの発注に基づき、どんな寸法でどんな形状のものか、という設計図的なものを(という説明で合ってるのかどうかもちょっと怪しい)このマシンに入力するとガシガシ削ってくれるのだそうです。一台ン千万クラスのマシン。できるやつ。

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で、当然削りカスが出ます。
マジで金属削ってるのね、って妙に削りカスにテンションが上がりました。

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工場の奥にはこんなレトロな感じの機械も。
「現役ですか?」とお聞きしたらもちろん、との回答。
小ロットのものや試作にはこういった機械のほうが向いてることもあるそうです。
地元の高校を取材したとき、工業系の学科の実習で使われているのを見たのと同様の機械だと思います(たぶん)。その高校からも、この工場にはたくさん入社されています。見学にお邪魔した時も別室では研修が行われていました。
 
「学校で習ったことがそのまま仕事に活かせる」ってすごくいい。
 
3Dプリンタなど「ものづくり」はすごくデジタルな世界になってるイメージがありますが、人の手で操作するこういう機械を扱う技術っていうのはずっと必要なのかもしれません。
 
機械が削って出来上がり、ではなく検査室でひとつひとつ検品してから出荷してるそうです。
 
様々な形状の部品を作られている工場ですが、現在は医療関係の機器に使われる部品などの発注も多いとのこと。そんな中、工場見学に来た人々を迎えていたのは・・・ライフル。
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もちろんモデルガンです。
 
プラスチック部品もありますが、アウターバレルの部分などに金属部品が使われています。これが重厚感やリアリティに。あのマシンでこういう部品も作れちゃうんですね。ちょっと欲しい。
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詳しくお聞きしませんでしたけど写真あらためて見たらたぶん「SCAR−L CQC」だと思います。リンク自粛。
 
こういう工場見学などにお邪魔すると、あらゆるものについて「どこでどんな人やマシンがどうやって作ってるのか」ということが気になります。
 
いまこの記事を書いてるMacBookをはじめとするアップル製品は、中国などアジア諸国の国々で作られた部品が多いとか。
ちょっと古い記事ですが、以下の記事によると日本は139の拠点でAppleに供給する部品を作っています。

weekly.ascii.jp

サプライヤーリストに掲載された工場の立地地域をみたら、わが街の名前もありました。

 

アナタがいま持ってるそのスマホの部品は、実は同級生のお父さんあたりが作ってるかもしれません。ということですね。

 

また機会があれば工場見学行ってみたいと思います。

 

【2016年熊本地震】臨時災害放送局について

被災地では臨時災害放送局の開設についての動きはありますでしょうか。
臨時災害放送局は自治体からの簡易な手続きで開設できるラジオ局です。

 

開設を希望する場合、「自治体から総務省への免許申請」が必要です。

 

設備がない場合、総務省九州総合通信局では設備機器の貸与制度も用意されています。

 

詳細な制度、手続は以下

総務省|災害対策支援|災害対策支援

 

現地の状況として必要であれば弊社も設備協力、技術支援など致しますのでいつでもお声がけください。

 

(2016.4.29追記)

現在、熊本県内では以下の4つの臨時災害放送局が開設されています。

 

くまもとさいがいエフエム(熊本市・熊本シティエフエムが支援)

総務省|九州総合通信局|臨時災害放送局の開設について −平成28年熊本地震にかかる災害情報提供を目的に熊本市が開設−

 

こうささいがいエフエム(甲佐町

総務省|九州総合通信局|臨時災害放送局の開設について −甲佐町が平成28年熊本地震にかかる災害情報提供を目的に開設−

 

みふねさいがいエフエム(御船町)

総務省|九州総合通信局|臨時災害放送局の開設について −御船町が平成28年熊本地震にかかる災害情報提供を目的に開設−

 

ましきさいがいエフエム(益城町

総務省|九州総合通信局|臨時災害放送局の開設について −益城町が平成28年熊本地震にかかる災害情報提供を目的に開設−

 

地域の音を記録に残してゆくということ

先日、鹿児島の伝統楽器「天吹(てんぷく)」の記事を書いてみた。

鹿児島の伝統楽器・天吹(てんぷく)を作ってきた - ローカルメディアマンの日常。

 

こういう伝統楽器は、有形の資産のようでそうじゃない。

モノとしての楽器は残ったとしても、演奏者が居なくなれば音が残らないからだ。もちろん録音や録画という方法はあるが、音楽というのは本来再現芸術である。演奏者がいて、演奏される機会や伝承される様式がなければ楽器が存在しているとは言い難い。

 

さて、人口が確実に減少していく中で、無くなってゆくことが確実な「音」がある。

 

わが地元でも、2005年時点で102,500人ほどだった人口が2016年3月1日現在で97,519人。(薩摩川内市ウェブサイトより)

10年ちょっとで5%程度の減少。世代別では全国の例と同じく少子化・高齢化が進んでいる。

こどもが少なくなると小中学校が統廃合されるのはやむを得ない。学校には最低限必要な機能というのがある。それらを維持するコストが見合わなくなってくるからだ。

わが母校の小学校も、ほか4校の小学校と統合されたあと、中学校といっしょになって小中一貫の「義務教育学校」と呼ばれるものになるそうだ。

 

別の小学校の閉校事業を取材する中で、校歌を録音して残しておきましょう、という話になった。母校が無くなるということは、校歌が無くなるということなのだなあと思った。

 

現在閉校の対象となっているのはどれも創設から100年以上経っているような伝統校ばかりである。途中で作り替えたところもあったかもしれないが、どの校歌も少なくとも数千人、もしかすると数万人のこどもたちが歌い続けてきた音であることは間違いない。その親も、祖父母も、という例も少なくないはずだ。

 

歌い継がれていくことは難しいかもしれないが、せめて録音を残しておこう。

そう思って閉校が決まっている学校の校歌録音の準備を進めている。

 

どう使うかはともかく、残しておくことが大事。まずはそのように思っているが、こどもたちが番組に出演してくれた際などには結構な割合で「CDになりませんか」と尋ねられる。校歌もCDにして欲しいという声が必ず出てくるだろう。

 

ハードルになるのは著作権。市民歌などであれば著作権ごと自治体が買い取っているケースもあるが、校歌となるとほとんどそういうわけにいかない。作詞者・作曲者が著名な方の場合は音楽著作権管理団体に預託してある場合もある(そしてそのほうが手続きが確実にできるのでスムーズである)が、地元の方が作られていたりするとなかなかそういったものばかりではない。JASRACの作品データベースでは、自分の地元のものはほとんど発見できなかった。

そうすると直接権利者またはその権利を相続された方に許諾を得るということになるのだが、これが難しい。著作権保護期間は現行法では著作者の死後50年ということになっている。およそ100年前に作られたとして、保護期間が切れているものもあるだろうがそもそも没年がはっきりしなかったり、相続された方の所在が不明だったりする。

 

このへんの課題には調査を進めつつじっくり取り組むしかないのだけど、もしうちの地元の校歌の作詞者・作曲者およびそのご家族などをご存知の方がいらっしゃったらぜひご一報いただきたい。

 

ローカルメディアのひとつの役割として、こういったアーカイブ性があるのではないかと思っている。郷土史などは地域の図書館に収蔵されていることが多い。音声や映像も同様のアーカイブがあるべきであるし、実際図書館でもそういった事業に取り組まれているところも少なくない。

いまや個々人が録音、録画機器を持っている時代であるし、それらの果たす機能は大きいとも思う。しかしそれだけではなく検索性と蓄積性、一定のクオリティをもったアーカイブというのは地域メディアが担うべきではないか。という気がしてきている。

 

全国で300局に迫ろうとしているコミュニティ放送局

なんらかの録音設備は各局持っているはずだし、ぜひ各地の音のアーカイブに取り組まれては、と思う。そして校歌の録音や著作権手続きなどのノウハウはぜひ共有できないものか。場合によってはアーカイブ目的の場合の著作権法の特例制度など、政策提言までできれば。そんなことを考えている。

 

昨日取材でうかがった場所は閉校から40年近く経った元小学校のグラウンド。

少年サッカーチームの練習場所になっていて、いまもこどもたちの元気な声が響いていた。


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桜島マスターズマグマ駅伝に出てきました。

マラソン走る意味がわからない、1万円もらっても走りたくない。

よく言われるしそう思っていた時期がありました。

先月1万円参加費を払って鹿児島マラソン走ってたばかりですが。

 

さて、マラソンと似て非なる競技、駅伝。

 

自分でやることになるとは思いもしませんでしたがね、昨年初めて誘ってもらってチームに加えてもらったのが「桜島マスターズマグマ駅伝」。今年も行ってきました。

 

この大会、「総合タイムの部」と別に、「申告タイムの部」というのがあります。

5区間22.5kmの合計タイムを申し込みの際に申告しておいて、実タイムとのタイム差が小さいところが優勝、という部門。だから遅いチームでも全チームに優勝の可能性がある。

 

申告タイムの部があるので時計を着けて走ったり、メンバーにタイム教えたりするのは反則。よく知らないけど、時計ダメっていうのは割と珍しいんでないかな。

 

桜島ビジターセンター前をスタートして、烏島展望所の前を通り抜け、国道224号に折り返して帰ってくる1周4.5kmの周回コース。

 

 

桜もツツジも咲いてる時期だし、何しろ目の前は錦江湾と桜島だし、条件が揃えば絶景で最高に気持ちのいいコースだと思うのですよ。

 

初参加の昨年は、アップしてる最中に桜島が噴火。目も開けられないほどの降灰の中、真っ黒になりながら走ったのだけど、今年は雨。このところ桜島元気なので、積もった灰と雨でドロドロになりながらのレース。

来年はいい天候にあたることを期待したい。

今回は自分でチーム編成して参加したので監督兼選手。

申告タイムの部で実タイムが30分以上ズレるような監督は来年は替えたほうがいいよ、と開会式で大会役員の方に言われていたのだけど、実際は申告タイムから5分オーバーでした。もうちょい差を縮めたかった。優勝チームはタイム差12秒とかだもんね。

 

雨の中でケータイ持ち歩くこともままならず、写真がほとんど撮れなかったの。

これは帰りの桜島フェリーターミナルで撮影した桜島大根。


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また来ます、桜島。

 

長渕 剛 ALL NIGHT LIVE IN 桜島 04.8.21

長渕 剛 ALL NIGHT LIVE IN 桜島 04.8.21

 

 長渕さんがオールナイトライブをやった会場にはモニュメント「叫びの肖像」も。この赤水展望広場のすぐ近くを走るのですよ。

 

音声データの基礎知識、とか需要ある?

コミュニティ放送局という仕事柄、音声データは毎日扱っているわけですが。

音声データの扱い方とか基礎知識みたいなものをまとめてあると便利だなあと思っていて、少なくともうちの場合はスタッフがまずこれくらい知っておいてくれるとうれしい、という基礎の基礎のものをとりあえず作ってみました。

 

マジで基礎の基礎なので本職の方はスルー推奨。ツッコミは歓迎。

 

Audacityというフリーウェアをうちでは多用しているので、これをベースに書いています。Audacityの操作法については自分と同じくこのフリーウェアの愛用者の方々がいろいろまとめてくださっているのでそちらをご覧頂くとして。

 

ちなみに自分のおすすめはこちらのサイトです。Audacity愛が伝わってきます。

Audacity講座 - Re:I

 

こういうソフトを使う前提となる、そもそも音声データってなに?とか用語がわかんない!みたいなところをカバーしたいという資料を作ってみた感じです。

 

社内向けに作ったつもりでしたが、もしかするとどなたかの役に立つかもなーと思ったので公開してみます。ニッチなニーズだとは思いますがご自由にお使い頂ければ。

 
 
そしてホントにAudacity便利で大好きなのでこのソフトについてはまたいつか書きます。
 

 

Audacityではじめる音声編集 (I・O BOOKS)

Audacityではじめる音声編集 (I・O BOOKS)

 

 

鹿児島の伝統楽器・天吹(てんぷく)を作ってきた

天吹(てんぷく)という楽器をご存知でしょうか。

尺八に似ていますが、より高く澄んだ音がする鹿児島の伝統楽器です。

江戸時代よりも古くから伝承されているんだとか。

鹿児島県/天吹

演奏動画がYoutubeにもありました。音を聴いてみてください。


天吹

高校時代の恩師が天吹を吹いていらっしゃったので、楽器の存在は知っていたのですがきょう行われた「ひらさ桜まつり」という催しでこの天吹の「制作体験」ができるということで行ってきました。

天吹を自分で作れる・・・?

 

天吹同好会のみなさんがご用意くださっていた材料の竹。コサンダケを使用します。

どれでもお好きなものをどうぞ、ということだったのでフィーリングでこの竹をチョイス。これがちゃんと楽器になるんでしょうか。
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まずは長さを切りそろえます。この絵だけみると伝統楽器を作っているとは思えないワイルドさ。
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切れました。
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次は穴を開けます。
音程を決める大事なところ。表に4つ、裏に1つ、合計5つの穴が等間隔に並んでいることが大事なんだそうで。天吹同好会のみなさんが竹の長さに合わせた専用のスケールを用意してくださっていたので、これに合わせてまずは鉛筆で印を付けます。
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穴を開けるのは電動ドリル。やっぱり伝統楽器を作っているようには見えません。
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穴が空きました。裏の穴は表の4つよりやや小さめがいいんだそうで、ドリルの径を変えて作業。
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と、ここまでスムーズに来たんですが最後にして最大の難関、吹き口。
ここがきれいに出来ないと、そもそも音が出ません。
これは見本の天吹の吹き口。薄い部分を作るように削っていきます。
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いったん削り過ぎると元に戻せないので、小刀とヤスリを駆使して慎重に。これがなかなか難しい。
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なんとか音が出るレベルの吹き口になったものの、詰まったような音で音抜けが悪い。
ヤスリや掃除具などを使って調整したり、穴の細部をキレイに仕上げたりという部分は同好会の方がやって下さいました。
 
なんだかんだであっというまに90分ほどたっていました。
自分で作った「マイ天吹」完成!
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調整してもらって、音だけはきれいに出ます。メロディが吹けるようになりたいけど、なかなかハードルが高そう。
 
現在、天吹は伝承曲が7曲しかなく、演奏者も本当に限られている楽器です。
鹿児島に古くから伝わる楽器の音を絶やさないためにも、こういう製作体験は貴重な時間だと思います。
 
かなり奥は深そうですが、とりあえず自分で作れる、というのもこの楽器の魅力。同好会の方によると、材料の竹を探しに山に入るのも宝探しみたいで楽しいんだとか。次はそこからやってみたい・・・。
 
以上、鹿児島の伝統楽器を自分で作ってきたよレポでした。

ローカル放送局にできること

www.nikkansports.com

閉局、というのは放送局にとってなんとさみしい言葉なんだろう。

これまで女川さいがいFMに関わられたみなさん、本当にお疲れさまでした。

 

女川さいがいFMは、その名の通り「臨時災害放送局」だ。

臨時災害放送局 - Wikipedia

大規模な地震などの災害時に、自治体が免許人となって簡易な手続きで放送を開始できる。コミュニティ放送を含む通常の放送局の免許は自治体には交付されない(そのため

自治体主導で作られる場合でも免許人となるためのNPOや3セク法人などが作られる例が多い)ので、災害時に限った特例的な制度と言える。

免許期間は「被災者の生活が落ち着くまでの間」とされている。

 

私見だが災害時にローカル放送局が力を発揮するのは、災害直後のフェーズと、その後に分けられる。

災害直後に関しては、取材力も乏しいローカル放送局では被害の詳細な全容などを伝えるのはなかなか難しい。いっぽう情報が錯綜しがちなフェーズであるので、「とりあえずあらゆる情報をローカル放送局に集める」という方法を持って、リアルタイムに近い情報発信を行うことができる。

これはうちを含む多くのコミュニティ放送局も経験しているところだろう。

もうひとつ、その後のフェーズについて。

東日本大震災のような未曽有の大災害の後、どのようにコミュニティを再生するか、というのは非常に難しい問題だ。

ラジオのような電波メディアはローカルであればあるほど人の存在が身近に感じられる。その点において、女川さいがいFMのような放送局が果たした役割は大変大きなものであっただろうと思う。

制度的には、通常のコミュニティ放送局に移行することは当然検討されただろう。

だが実際には、臨時災害放送局として立ち上がった放送局がコミュニティ放送局に移行するというのはなかなかにハードルが高い。

臨時災害放送局は災害時の特例であるため、簡易な手続きで開設できる反面、災害が落ち着いたと判断されるときにはその役割を終えることが想定されている。記事を読む限りは、このあたり管轄する総務省側も制度の範囲内でめいっぱい柔軟な対応をとられたようだ。

 

いっぽう通常のコミュニティ放送局は、制度的には常設の地上基幹放送局である。無線技術者の管理や放送事故の防止対策など、様々な義務が課せられる。公共の電波を常時使用するわけだからある意味仕方ないのだが、このような基幹局としての体制を維持することにかかる事務コストは馬鹿にならない。

維持するためにはそれなりの収入も必要である。

女川さいがいFMをはじめとする臨時災害放送局が、コミュニティに移行せず閉局することを選ばれたのはこのようなことが理由なのかどうかまでは定かでない。

ただコミュニティ放送局を運営する側からすると、少なからずこのような事情はハードルになっただろうと思うしもうすこし制度側に柔軟さがあって良いような気がしてならない。

再生し始めたコミュニティが、より確かなものになっていくフェーズはこれからなのだ。

 

うちの局でも、芸能人など有名な方が出演されることは稀にあるが、ほとんどの出演者は地域に暮らす普通の方々。ゲストであり、リスナーであり、スポンサーでもあったりする。そのような距離感が、コミュニティの力なのだ。

ラジオに自分が、あるいは身内が出演した、ということをこれほど喜んでくださるのか、と思わせられるような光景に我々は日々直面している。

電波に乗る、ということには力があるのだ。

 

電波が公共財であるというのは、わかる。

 

だが、放送事故が起こらないような体制を常時構築し、無線技術者の管理を受け、免許更新手続きをはじめとした様々な手続きもこなし、番組を作り審議会もやってスポンサーへ営業し自ら稼ぐ。そのようなビジネスモデルを構築するのはおいそれと出来ることではない。

鹿児島県では2016年3月現在、うちを含め12のコミュニティ放送局が存在している。開局予定のものも含め、まだまだ増える傾向にありそうだ。

 

基幹放送局であるというのは、コミュニティ放送に対し国がそれだけ力のあるものとして捉えていることの表れでもあるのかもしれない。しかしその制度そのものがコミュニティ放送局の開設や維持におけるハードルになっている点は否定できない。

コミュニティの段階も、規模もさまざま。女川さいがいFMのような象徴的な事例を機に、コミュニティのかたち、まちの形に合わせたさまざまな放送局が柔軟に存在しうる制度になってほしいと願うばかりだ。

 

コミュニティ放送局は災害時のためのものでしょ?とよく聞かれる。

もちろん災害時には、重要な役割を果たすのだということはこの業界の人は全員知っているしそれなりの覚悟もしている。しかし本当は、そんな出番が来ないことがコミュニティにとって最も幸せなことなのだ。他愛もない話や音楽が流れている日常が。

 

その意味において、女川で最後にサザンオールスターズの「TSUNAMI」が流れたことは喜ばしいことだと思う。

遠く離れたまちから、我々は我々のコミュニティの在り方を考え続けたい。